ふくろう通信

平成28年01月01日
米山 昌英

さるとしの去る年もなく
         春の川 (三島龍澤寺 中川 宋淵老大師)


 ただ歳が改まるというだけで、
見るもの、触れるものすべてが新鮮で、厳かに感じるあさを迎えました。 今年も心をおこして、来るべき明日に向かって、最初の一歩を踏み出す。一日一度は静かに坐って心を整え、 生かされている日々に感謝し、生活を正す。 春夏秋冬、まだ玄冬まではもう少し時間がありそうです。 親友、心友、辛友に恵まれた幸運な人生に感謝しながら、ひたすら愚直にこの道を歩む。
どうぞ本年もよろしくご指導のほど、お願い申し上げます。
皆様の新しい年のご平安を心よりお祈り申し上げます。    合掌

新しい年を皆さんと一緒に迎えることが出来て、こころよりうれしく思います。
戦後70年の歳月が過ぎた。安倍政権が誕生して3年。経済は良くなったと安倍首相は胸を張るが、実質賃金は29か月連続のマイナス。正規労働者は60万人減り、非正規労働者は、180万人増えたという。
2017年4月には、消費税率を10%に引き上げる公約を掲げているが、貯蓄ゼロ所帯は、26%~30.9%に増え、雇用も悪化、正規労働者は、3,370万人から3,329万人へと減少した。このような状況で、ほんとうに消費税を予定通り上げられるのだろうか。
更に、心配なことがある。我々中小・零細企業にとっては、死活問題となる困難な問題が、目の先まで来ているのだ。現在、資本金が一億円以上の企業に適用されている「外形標準課税制度」が、資本金一億円以下の企業にも課税を拡大しようというのである。現状では、資本金一億円以下の中小企業が赤字だと、利益に対する課税はゼロである。
全国400万社ある中小企業のうち、70%が赤字だという。この赤字企業に課税をすると、約280万社が倒産に追い込まれることになる。(イケダ経営池田勝志の2016年にあたりより引用)
詳しいことは省略するが、この外形標準課税制度が適用されると、人件費の多い我が社のような企業は、「付加価値割」が多くなり、痛税感が大きくなり、消費税10%とダブルパンチとなる。
ついこの間までは、世界の先進国の優等生として、もてはやされた日本のかがやきも、またたく間の夢となり、多くの日本人、中小企業の苦悩が見えてくる。
 人間の生き方、人類社会の進むべき方向を、モノとカネを中心に追い続けた70年間の価値観が、完全に崩れ去ってしまったのだ。
日本が戦後50年経った頃、三島の龍沢りゅうたく寺の心鏡しんきょう室鈴木宗忠老師が語ってくれたお話が、鮮やかに私の脳裏をぎる古い思い出話がある。
日本の文化は、「障子しょうじの文化、恥の文化」であるという。
・「障子や襖の隣に人が居る。そのような生活様式を通して、人に迷惑をかけないように、細心の注意をはらいこころくばりをするという繊細せんさいな日本の精神文化が育ってきたのだ。しかし日本は戦後、その大切な文化を継承する日本人の思想的な(道徳的又は宗教的といってもよい)バックボーンを、まるで紙くずのように捨ててしまった。」
・「ドイツは、同じ敗戦国でありながら国の背骨になる教育は、けっして戦勝国の言いなりにならなかった。これは大変な見識じゃ。日本も早く気づかなくてはいかん。いま行き詰まって気づいても、もう五十年は経ってしまったな。これから始めても良くなるのには、また五十年かかる。困ったものだ。」
 ご老師の確信に満ちたあの時のお姿が、昨日のように思い出される。

  我々は、いままさに死語になりつつある「おかげさまで」「もったいない」「ありがたい」「すまない」という言葉を自分の生き方の中に是非生かして生活をして欲しいのである。我々は贅沢ぜいたくすぎるのだ。
贅沢ということについて、臨済会が発行しているある年の「法光」の正月号に、人の身にとって必要なものは、第一に飲食、第二に衣服、第三に住居である。世の中の重大な事柄は、すべてこの衣食住の三つに過ぎない。但し、人は誰でも病気にかかる。病気におかされたならば、その苦しみは堪え難い。したがって医療を忘れるわけにはいかない。
飲食、衣服、住居の三つに薬を加えてこの四つのものが、求めても自分のものにならないのをまずしいといい、この四つが充分であるのを富んでいるという。そしてこの四つ以外のものを求めて身につけることを贅沢ぜいたくという。(吉田兼好の徒然草より)
どうやら我々は、水の中に居ながら「のどが渇いた、水が欲しい。水を欲しい。」と叫んでいる愚かさに気づいていないのだ。せめて私どもの会社の従業員だけでも、心して頂きたいものである。
さあ、今年も心新たに元気で頑張りましょう。

合掌




米山 昌英